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  平成十二年一月九日、二階は日中友好の観光新時代を築き上げようと訪中し、翌十日に北京で何光国家旅游局長と会談した。
 中国は、国民が観光目的で渡航できる対象国のひとつとして日本を指定ずみである。日本側も、平成十一年中に観光ビザ解禁に踏み切る計画だった。
 しかし、一部の関係省庁から、入国後に不法滞在する旅行者が出る可能性を指摘され、対策や予防措置を講ずることが必要との慎重意見もあった。これでは、いつまでたっても日中関係の観光交流はうまくいかない。
 日本以外の諸外国は、中国に対して「私の国に旅行団を送ってください」と三拝九拝している。それなのに、日本は不法滞在の恐れがあるから簡単に入れられないと威張っている。これは、おかしなことだ。
 二階は常々思っていた。
〈外交というのは、外交官だけの交流では駄目だ。互いの国の人々が実際にその国の歴史や文化に触れることにより信頼関係が構築され、相手国を尊敬する気持ちが自然に、湧いてくるのだ〉
 そこで、二階は何局長に提案した。
「中国人観光客の招致キャンペーンの一環として、国際観光振興会が旅行業界や航空業界、地方自治体などの協力で日本紹介の『ジャパンデー』行事を北京で開いてはどうか」
 何局長も歓迎し、協力を約束した。
 また、中国人の団体観光客の日本訪問の実施方法を話し合うための両国の実務者協議を二月中に北京で開催することも合意した。
 さらに、二階は、日中文化観光交流使節団も検討していた。今年は、日中間での大きなイべントがないという。そこで、二〇〇〇年のミレニアムを記念し、二〇〇〇人の日本人旅行客を北京の人民大会堂に集めて中国側が歓迎の式典を催すことになった。
 式典後は、四〇人一組五〇班のチームリーダーがメンバーと協議し、旅行関係の専門家とも相談し、中国全土にそれぞれのグループが訪問して友好親善をはかることになる。
 二階は思っている。
〈いままでにない試みで日中交流の新時代スタートの行事として成功させたい。そして私が訪中を予定している五月二十日までには、観光ビザ解禁も実現するのではないか〉
 中国の人口は、一二億人である。一割の中国人といっても、日本の人口とおなじ数だけいる。さらに、そのなかの一割はかなりレベルが高い層だ。その層のひとたちは、海外旅行にどんどん出かけている。
 日中の若者たちがひんぱんに交流をすることで、「日本国民は心が広く、温かい、われわれと同じような気持ちをもった平和を愛好する国民だ」と理解してもらえるのではないか。
 いっぽう、中国は、北京から上海までの新幹線の建設を計画している。
 二階は、訪中時に新幹線担当の曽培炎国家発展計画委員会主任(大臣)に会ったとき、さらに、陳健中国大使にこう言っている。
「日本国運輸大臣は、新幹線の車体を売り込むセールスマンではない。日本は、中国から文化を教わり、その延長線上に今日の日本の繁栄がある。そのなかから、たまたま新幹線の技術を開発した。そして、今日まで三〇数年に亘って無事故できている。これは、日本が世界に誇っていい技術だ。この技術が中国の発展にもしお役にたつならば、どうぞ一つお使いください。積極的に協力します」
 一月十四日午前、二階は帰国後初めての閣議後の記者会見で、現在は観光ビザを発行していない中国からの団体観光客について、今春に観光ビザ解禁を目指す考えを明らかにした。
「桜の咲いている間に第一陣を迎える位の気構えで関係者は努力してほしい。法務省や警察庁は、不法就労の窓口になっては困ると心配しているが、両国で話し合えば解決の方法は必ずある」
 日本政府は現在、中国人に対しては、身元保証のできる知人や企業などへの訪問目的にしかビザを発給していない。しかし、中国政府が昨年一月、これまでの規制を緩和し、日本への観光訪問を認める方針を打ち出したことで、日本側が強く対応を迫られていた。観光地を抱える国内の自治体からも受け入れの要望が相次いでいるところであった。
 また、三月四日には、時速九四キロというスピードを誇り、二階自ら「海を走る新幹線」と呼ぶテクノスーパーライナー(TSL)が上海港に入港し、大歓迎を受けた。
 テクノスーパーライナーは、一二年前から開発に取り組んできた。一六五億円の予算を投じ、七年間の歳月をかけてようやく完成した。これを政府は、静岡県に三億円で払い下げた。県は、これを一九億円かけて改造して防災船として活用し、平時は清水港と伊豆の下田の間を観光船として運航し人気を呼んでいる。
 運輸省は、これを借りて中国に向かって初航海した。一月の訪中時に、二階運輸大臣のカウンターパートである黄交通部長(大臣)に中国訪問の際の協力をお願いしたこともあり、上海でも中国政府の要人が出迎えて頂き、大歓迎を受けた。
観光振興をライフワークに
 一方、二階は観光についての長年の造詣に基づき、また、全国約六〇〇〇の旅行業者の団体である(社)全国旅行業協会会長としての経験から、観光に関する施策を矢継ぎ早に打ち出した。
 昨年十月に開催された閣議後の閣僚懇談会の席上で牧野労働大臣が「日産自動車(株)における工場閉鎖による二万人失業等の雇用不安が生じている。事業所管省庁においても雇用創出に努めてもらいたい」と要請した。これに対して、二階は「運輸省で、雇用創出に協力しよう。そのためには、パート雇用の比率が高い観光産業で二万人の雇用創出を考えよう」と応じ、生み出されたのが臨時国会で成立した十一年度第二次補正予算の観光関係事業である。即ち、海外観光宣伝キャンペーンを実施し訪日外国人観光客の増加を図ると共に、観光産業のサービス向上と二万人雇用創出を目指した研修事業、観光職業情報提供事業等を含む補正予算約一五億円を盛り込んだのであった。
 また、平成十二年度政府予算原案では、国際観光交流を拡大するための予算を中心に観光関係に約三三億円と大幅に拡充した予算を編成した。特に訪日観光促進キャンペーン経費については補正予算を除く当初予算では史上初めての約三億円の予算を計上したほか、観光関係の情報の充実を図るため、次世代観光情報基盤整備事業の拡充のためにも約三億円の予算を計上し、観光振興に関する並々ならぬ姿勢を示した。
 高度情報化関係では予算措置以外でも、十一月三十日に観光情報を電子地図を通じてカーナビなどに情報発信する民間企業等の協議会「観光GIS利用促進協議会」を設立し、マルチメディア技術やインターネット技術を先取りした施策を示している。
 国内観光の振興では、十一月十八日から十九日まで第二回広域連携観光振興会議(WAC21)を石川県、富山県、福井県の北陸三県で開催し、今後の観光振興のため三県が協力して観光振興を目指すことになった。また、本年から実施されている祝日三連休の拡大にも意欲を燃やしている。
 二階が運輸政務次官当時に創設した観光事業振興助成交付金制度が平成十一年に廃止されることになっていた。この交付金は八年間で総額約二〇〇億円に及び、わが国の観光振興の重要な財源となっていた。二階は、平成十二年度以降の観光振興事業に支障を生じないよう自ら自治省、全国の知事等に働きかけを行ない、観光振興のための地方交付税措置が講じられることとなった。
 また、国内需要が二〇兆円に及び、その経済効果も五〇兆円に及ぶ産業である観光産業は、二十一世紀の基幹産業になりうる産業であるにもかかわらず、社会的重要性が認知されていないとの認識を持つ二階運輸相の指示の下、十二月六日観光産業関係者などが総結集した観光版経団連とも言える「観光産業振興フォーラム」(代表幹事 堤義明(財)国際観光開発研究センター会長)が設立された。そして、設立総会において観光産業の重要性、魅力ある観光交流空間の整備、休暇制度の充実、国際相互理解の促進、観光振興のための財源の確保等に関して緊急アピールを取りまとめると共に、これらの広範な課題について観光産業が一体となって取り組んでいくこととなった。
 北海道開発庁長官も兼ねている二階は、北海道の基幹産業である観光の振興にも並々ならぬ取り組みを見せている。十一月二十八日札幌において北海道内外の観光産業関係者や有識者等が一同に会して「北海道の観光を考える百人委員会」(会長 松田昌士JR東日本社長)を発足させ、現在年間六〇〇万人の観光客を今後一〇年間で一〇〇〇万人とすることを目指すよう各種取り組みを行なっていくことにしている。
 この「観光を考える百人委員会」は、二階の提案により北海道の他、これまで北東北(一月二十二日)、沖縄(二月六日)四国(二月十九日)、中部(三月四日)、関西(三月二十六日)、九州(四月二十三日)で開催され、真剣な議論が行なわれたほか、観光振興のための各種提言等がなされている。今後も中国等で開催されることが計画されており、全国的に観光で地域を生き生きとさせたいという動きが生じてきている。
 国際観光の分野では、前述の日中関係ばかりでなく、日韓関係でも意欲を示している。十二月二十三日及び二十四日に韓国済州島で開催された第二回日韓閣僚懇談会では小渕総理と共に出席した。二階は、全体会議に出席すると共に、文化観光部長官と個別会談を行ない「平和産業である観光の発展のために、日韓両国で未来志向で取り組もう」との提案を行ない、二〇〇一年のWTO(世界観光機関)総会の日韓共同開催、二〇〇二年のサッカー・ワールドカップの日韓共同開催を契機として、日韓両国が協力して世界に向けて両国の歴史遺産、文化遺産等の素晴らしい観光資源についてアピールする等観光振興を進めていくことで合意した。
 さらに、三月二十五日には仙台で文化観光部長官と二度目の日韓閣僚会談を行ない、両国の交流促進のため、成田、関空、名古屋空港等での韓国との航空便の増便などで合意した。
 続けて二階は朴長官を連れて大阪へ飛んだ。
 太田房江大坂府知事や貝原俊民兵庫県知事をはじめ有力な財界人、観光関係事業者、学識経験者などが参集した「関西観光振興フォーラム」で朴長官に記念講演をお願いし、長官は、観光産業が二十一世紀の産業として如何に重要であるか、関西地方と韓国との観光交流とその将来性を強調した。
 また二階は、常日頃から日本人の海外旅行者数が約一六〇〇万人であるのに比べ訪日外国人観光客が約四四四万人と四分の一しかなく、また、外国人旅行者受入数が世界でも第三二番目という低水準に留まっている状況を改善する必要があると主張している。この事態を改善するため、在外公館の大使等が率先垂範して、訪日外国人観光客の来訪促進のための活動に取り組むよう二階は河野外務大臣に働きかけ、河野外務大臣も全ての在外公館に対し訓令を発して、協力を約束した。今後、運輸省と外務省が協力連携して外国人観光客の誘致のための施策を講じることとなった。
 また、日米をはじめとする関係諸国、世界気象機関などの関係機関との国際協力の下、全世界の海洋の状況をリアルタイムで監視・把握するシステムを構築することにより、二〇〇四年までに長期予報の精度を飛躍的に向上させることなどを目標とした、いわゆるARGO計画を積極的に推進している。
 その結果、ARGO計画が政府のいわゆるミレニアムプロジェクトとして位置づけられ、十二年度予算案においても所要の関連経費が盛り込まれた。

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